JAガンバレ農業!
【第90回】

葉タバコの「伝統」守ろうと奮起
~高梁市川面町、仲岡卓己さん・靖子さん~

(高梁市川面町)撮影日:平成31年4月5日
三角キャップを被せる仲岡さん夫妻

三角キャップを被せる仲岡さん夫妻

高梁市の中心部から山道を走り車で約20分、三角キャップが一面に広がる光景が目に飛び込んできます。標高約300mの同市川面町の山間部で、葉タバコを栽培する仲岡卓己さん(72)・靖子さん(71)のほ場。仲岡さん夫妻は、父の代から70年以上、葉タバコ栽培を続けています。地域農業を支えた葉タバコを次代につなげようと今年も4月上旬、植え付けを終えました。

中山間地で畑作中心の同市は、かつて葉タバコが盛んで全国でも有数の産地でした。全国たばこ耕作組合中央会によれば、最盛期の1958年には県内で19453人が生産していました。仲岡さん夫妻の同地域でも最盛期には100戸以上が栽培。植え付け後の4月下旬の霜よけのため株に被せる三角キャップの広がる風景は、地元の風物詩となっていました。

1985年ごろから始まった日本たばこ産業(JT)による契約の見直しで、地元では、1990年代には収益性の高さと栽培環境が適していることから、ブドウ栽培への転換が急加速。風物詩は、ブドウ園へと変化を遂げました。後継者不足による自然廃作もあり、葉タバコ栽培は減少の一途を辿りました。

現在は県内6戸、市内で2戸がJTと契約栽培し、栽培の歴史を守ろうと尽力しています。仲岡さん夫妻もその1人。「葉タバコは、地域農業を支えた礎であり、今では風景遺産かもしれない。風物詩でもあるこの風景や栽培伝統を絶やさないためにも、できる限り続けていきたい」と奮闘します。

今年は3月下旬から、苗8000本を1本ずつ手作業で植え付け、霜よけの三角キャップを被せていきました。最盛期は80aほどを誇っていた面積ですが、いまは40a。水稲1.5haと複合経営をしています。

一面に広がる葉タバコの三角キャップ

一面に広がる葉タバコの三角キャップ

苗はJAびほく育苗センターのガラス温室内で管理し、同センターで県内5戸の苗を担います。今年は4月初旬の霜の影響を受けたものの、順調に生育しているという仲岡さん。5月上旬にキャップをはずし、6月から8月中旬に、大人の背丈ほどに生長した葉タバコの株から一枚一枚丁寧に摘み取り乾燥させます。

全ての作業は夫婦二人三脚。芯止めや芽取り、適期の追肥、夏の収穫などは大変と思われがちですが、仲岡さんは「品質を左右する重要な作業ばかりではあるが、機械化が進み、昔に比べ作業性は格段に向上している」と話します。

葉タバコも、量より質が重要視される時代。仲岡さん夫妻は「日本のタバコは品質がいいと高評価を得ている。極力農薬に頼らず品質を上げ、少ない面積でも経営が成り立つようにしていきたい。それが面白みでもある」と笑顔を見せました。

植え付けをする仲岡さん夫妻

植え付けをする仲岡さん夫妻