JAガンバレ農業!
【第75回】

岡山県内初ICTを活用した農業ブルドーザ実証
~有限会社大槻とコマツ建機販売株式会社~

(加賀郡吉備中央町)撮影日:平成29年12月21日
均平作業を見守る関係者

均平作業を見守る関係者

JAびほく管内の岡山県加賀郡吉備中央町賀陽地区で12月21日、岡山県初のICT技術(情報伝達技術)を活用した農業ブルドーザの実証が始まりました。農業コストの省力化と効率化で生産者の農業所得を向上させようと、社会貢献の一環として農林業活性化を進めるコマツ建機販売株式会社が、農業事業を営む有限会社大槻に働きかけて実現。当日は約80aの水田を使った田面の均平作業を行い、関係者ら約30人が固唾を呑んで見守りました。今後、直播作業まで行い、雑草の有無と収穫量の増減などを調査していきます。

均平作業では、ブルドーザ前方のブレードに搭載したGNSS測量技術(衛星測位システム)を用いたアンテナが、ほ場外へ設置した固定局と随時通信することで、水平と高さを自動制御し整地するため、トラクタに比べ高精度な均平作業が可能になります。キャビン内部には、ICTモニタを設置し、事前に測量した高低差を均平度マップとして色分けして表示することで、効率的に土を動かすことができきます。均平度は±15mmと、従来のトラクタによる代掻き作業±50~60mm、2Dレーザーベラーによる作業±25~35mmに比べ高精度の整地が実現し、ブルドーザ本来が持つ高い均平性能を発揮しています。これにより防除管理の省力化と、表土、心土が均平化することで稲の生育が安定し収量増加と品質向上が見込めます。コマツによれば、従来型作業に比べ、収穫量5%、生産性は4割に拡大したといいます。

ICTパネルには高低差が色分けで表示

ICTパネルには高低差が色分けで表示

作業機はコマツのブルドーザの最小機種であるD21PLを農業用に改良。同機種を今年4月から北海道を除き全国に20台を配備し、将来的な販売に向け実証実験を始めました。均平作業だけでなく、後方に通常の農業用アタッチメントも取り付け可能で、耕起、代掻き、直播作業に加え、弾丸暗渠の設置も可能。すでに生産者が所有している農業用アタッチメントを利用することができます。

課題として、建設機械のため専用免許の取得と、ほ場条件があります。JAびほく管内は中山間地に位置しているため、ほ場までの誘導路が狭く機械の搬入が困難な場所が多く点在します。JA車輛燃料部の工藤伸次部長は「画期的な機械なのは確か。しかし中山間地のため大型ほ場ばかりではない。生産者ニーズやほ場環境を考慮しながら参考にしていく必要がある」と慎重な姿勢をみせました。

高低差の様子をコマツ担当者と確認する大槻代表(中央)

高低差の様子をコマツ担当者と確認する大槻代表(中央)

コマツの担当者は「均平から直播作業まで一台でできるのが魅力。直播のため育苗作業もなく設備・労務コストも削減できる。コストを削減しながら、従来型作付けに劣らない収穫量や品質を確保していきたい」と意欲をみせました。実証実験に賛同した有限会社大槻は、従来土木業を営む傍ら、農業事業へ事業主体をシフトし、現在水稲を中心に、黒大豆や備中大納言小豆を約50haで栽培しています。大槻志登司代表は、「土木業のノウハウを生かせるのも魅力。米価が安い今、この機械で設備や労務コストを削減し、少しでも農業所得向上につなげていきたい」と期待を寄せました。