JAガンバレ農業!
【第74回】

放牧から副産物を見い出し経営維持へ
~増原農地保全組合~

(高梁市玉川町)取材日:平成29年12月14日
放牧牛にエサを与える栗本さん(左)。手前が生まれた黒毛和種。

放牧牛にエサを与える栗本さん(左)。手前が生まれた黒毛和種。

岡山県高梁市の増原農地保全組合は、将来を見据え放牧による副産物を見い出し、経営を維持しようと新たな一歩を踏み出しました。組合が飼育する日本短角種に黒毛和種の授精卵を移植し、日本短角種に黒毛和種を生ませることで放牧の副産物による収入増加を見込みます。組合があるJAびほく管内は、JAブランド牛「備中牛」を飼育。JA管内で子牛の繁殖から肥育まで、一環して繁殖飼育体制をとることで、JA管内の畜産事業活性化につなげ、「備中牛」のさらなるブランドの付加価値に期待を寄せています。組合では生まれた黒毛和種が今後、「備中牛」になることを期待し、日本短角種よりも肉質がいい黒毛和種の繁殖に力を入れています。

地域の高齢化や過疎化が年々進む中、景観維持と耕作放棄地解消のためには組合の存続は今後より一層重要性を増すことが予想されます。次世代に組合を引き継いでいくためにも、放牧からの副収入で経営を維持し安定していくことは欠かせません。組合の代表の栗本和克さん(78)は、「後継者問題は必ず出てくる。次世代が安心して組合を運営できるようにしておかなければならない」と見据えます。

組合は、JA管内で放牧の先駆者として約10年前放牧を開始。放牧に適しているとされる日本短角種4頭の導入を皮切りに、現在、雌10頭に増やし、水田4ha、畑7haと一部の山の管理を担っています。管理する高梁市玉川町増原地区は、住民の高齢化と過疎化が進むにつれ、耕作放棄地が増加の一途を辿り、雑草や雑木が生い茂るようになっていました。当時農業委員を務めていた栗本さんは、「農業委員会でも毎回耕作放棄地の問題が議題に上がっていた。どうにか改善しようと放牧牛の導入を決めた」と振り返ります。当時深刻だったイノシシやヌートリアの被害は、放牧を始めて約2年後には解消。牧草も栽培していることもあり、周りからは「本来の田んぼの姿に戻った」「とてもきれいになった」と声が上がるまでに景観は改善しました。

冬場は、WCSやイタリアングラスも食べる

冬場は、WCSやイタリアングラスも食べる

この成果が他の地区へ徐々に口コミで広がりをみせ、黒毛和種も含めJA管内9か所で放牧がなされるまでに発展。今後について栗本さんは「放牧は労力をあまりかけず景観を維持管理できる。地域の存続までもが危惧されるが、放牧で地域の畜産業と協調しながら景観を守り、次世代に受け継いでいきたい」と期待を寄せました。